ブランディングデザインの新しい働き方

営業職のためのブランディングパラレルワーク 培ったスキルを活かして最初の1歩を踏み出す方法

Tags: ブランディング, パラレルワーク, 営業職, スキル活用, キャリアチェンジ, 未経験

デザイナーとしての実務経験がない状況から、ブランディングスキルを活かしてパラレルワークを始めたいとお考えの方は少なくありません。特に、現在営業職としてご活躍されている方の中には、「これまで培ってきた営業スキルは、デザインやブランディングの仕事でどのように活かせるのだろうか」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

独学でブランディングを学ぶ中で、理論やデザインスキルに関する知識は深まってきているものの、いざクライアントワークを始めるとなると、実務経験の壁や「自分に何ができるのだろう」という不安を感じるのは当然のことです。しかし、これまで営業職として培ってきた経験やスキルは、ブランディングのパラレルワークにおいて、あなたが思っている以上に強力な武器となり得ます。

この記事では、営業職として磨かれたスキルが、ブランディングパラレルワークのどのような場面で役立つのか、そしてそのスキルを活かして実務未経験からどのように最初の1歩を踏み出すのかについて、具体的な視点から解説いたします。

営業職で培ったスキルはブランディングにどう活きるか?

営業職として日々お客様と向き合う中で、あなたは様々なスキルを磨いてこられたことでしょう。これらのスキルは、一見デザインやブランディングといったクリエイティブな仕事とは無関係に思えるかもしれません。しかし、ブランディングは単にロゴやウェブサイトを作るだけでなく、クライアントの事業やサービスの価値を定義し、ターゲット顧客に適切に伝えるための戦略的な活動です。そこでは、デザインスキルだけでなく、ビジネスの理解や人間的なコミュニケーションが非常に重要になります。

具体的に、営業職で培われたどのようなスキルがブランディングの仕事に活かせるのでしょうか。

1. コミュニケーション能力・ヒアリング能力

顧客のニーズや課題を引き出すヒアリング能力、そして分かりやすく物事を伝えるコミュニケーション能力は、ブランディングの最初のステップである「ヒアリング」において最も重要なスキルの一つです。クライアントが本当に求めていること、抱えている課題、事業への想いを深く理解するためには、質の高いヒアリングが不可欠です。営業で培った質問力や傾聴力は、クライアントとの信頼関係を築き、本音を引き出す上で大いに役立ちます。

2. 課題発見・分析能力

営業は、顧客の顕在的・潜在的な課題を見つけ出し、その解決策を提案する仕事です。この課題発見・分析能力は、ブランディングにおける「現状分析」や「戦略策定」のフェーズで非常に価値があります。クライアント自身も気づいていない課題や、市場における立ち位置、競合との差別化ポイントなどを見つけ出す力は、効果的なブランディング戦略を立てる上で核となります。

3. 提案・プレゼンテーション能力

課題に対する解決策を明確に提示し、相手に納得してもらう提案力やプレゼンテーション能力も、ブランディングの仕事で直接的に活かせます。ブランディングの提案は、デザインの方向性を示すだけでなく、なぜそのデザインや戦略が必要なのか、それがクライアントのビジネスにどのような効果をもたらすのかを論理的に説明する必要があります。営業で培った「相手に響く言葉を選ぶ力」「分かりやすく伝える構成力」は、提案の採択率を高めることに繋がります。

4. 交渉・調整能力

複数の関係者との利害を調整し、合意形成を図る交渉・調整能力は、プロジェクトを円滑に進める上で重要です。クライアントの要望と予算、納期、そしてブランディングの専門家としての提案の間で最適なバランスを見つける場面で、このスキルが活きてきます。

5. 関係構築能力

顧客と長期的な信頼関係を築く能力は、単発の案件で終わらず、継続的なパートナーシップを築く上で非常に大切です。ブランディングは一度行えば終わりではなく、継続的な視点が必要です。クライアントとの良好な関係は、次の案件に繋がるだけでなく、紹介を生む可能性も高めます。

6. 目標達成志向・クロージングスキル

設定された目標(契約獲得、売上目標など)に向けて行動し、結果を出すためのクロージングスキルや目標達成志向も、パラレルワークにおいて自己管理や案件完了までをやり遂げる力として活かせます。

培ったスキルを活かして最初の1歩を踏み出す方法

これらの営業スキルを、ブランディングパラレルワークにおける実務経験の不足を補い、最初の1歩を踏み出すために具体的にどう活用すれば良いのでしょうか。

1. 自身の「営業スキル」の棚卸しと強みの言語化

まずは、ご自身の営業経験を振り返り、どのようなスキルが特に得意か、どのような経験がブランディングに繋がりそうかを具体的に書き出してみてください。例えば、「お客様の課題を深く引き出すヒアリングが得意」「複雑なサービスを分かりやすく伝えるプレゼン資料作りが得意」「様々な部署と連携してプロジェクトを進めた経験がある」など、具体的なエピソードとともに言語化することが重要です。これが、ブランディングの仕事におけるあなたのユニークな「強み」となります。

2. 実績作りの段階でスキルを意識的に活用する

実務経験ゼロからのスタートでは、まずは実績作りが重要です。知人・友人からの依頼、クラウドソーシングサイトでの低単価案件、あるいは架空の企業・サービスを想定したブランディング提案など、様々な方法で実績を積むことができます。この実績作りの過程で、単にデザインスキルを磨くだけでなく、意識的に営業スキルを活用してみてください。

例えば、知人からの依頼であれば、単に言われたものを作るのではなく、その知人の事業や活動について丁寧にヒアリングを行い、潜在的なニーズを引き出してみる。提案時には、なぜそのデザインやアプローチが良いのか、それがどのような効果を生む可能性があるのかを、営業で培った分かりやすさで伝えてみる。このように、プロセス全体で営業スキルを活かすことで、単なる成果物以上の価値を提供できるようになります。

3. ポートフォリオでのスキルのアピール

作成したポートフォリオには、単にデザインの成果物だけでなく、あなたがどのようにクライアントと関わり、課題を解決し、プロジェクトを進めたのか、そのプロセスを示すように努めましょう。ここで、営業スキルが活かされた具体的なエピソードを添えることで、実務経験がなくても「クライアントワークをスムーズに進める力がある」「ビジネスを理解する力がある」といった強みを効果的にアピールできます。

例えば、「●●様へのブランディング提案では、丁寧なヒアリングを通じて潜在的な課題(〇〇)を発見し、それを解決するためのコンセプト(△△)を策定しました。このコンセプトに基づきデザインを制作し、クライアント様の事業への理解とコミュニケーションスキルを活かすことで、円滑なプロジェクト進行を実現しました。」のように記述することで、単なるデザイナーではない、ビジネスパートナーとしての魅力を伝えることができます。

4. 案件獲得時の提案でのスキルアピール

クラウドソーシングや紹介などで案件に応募する際、あなたの営業スキルは大きな武器になります。提案文では、テンプレート的な内容ではなく、クライアントの募集内容を深く読み込み、そのビジネスや課題に対する自身の理解を示すように努めましょう。その上で、ブランディングスキルだけでなく、営業職として培ってきた「課題解決力」や「コミュニケーション能力」を活かして、どのように貢献できるのかを具体的に提案します。

例えば、「貴社が抱える『ターゲット顧客への訴求力の弱さ』という課題に対し、私のブランディングスキルに加え、営業職として培った顧客ニーズの深い理解と課題分析力を活かし、効果的なブランドメッセージとビジュアルアイデンティティを構築することで貢献できると考えております。プロジェクト進行においては、密なコミュニケーションを大切にし、貴社と共に目標達成を目指してまいります。」のように、単価や納期だけでなく、あなたの付加価値を伝えることが重要です。

営業職経験者がブランディングパラレルワークで注意すべき点

営業スキルは強力な武器となりますが、いくつか注意すべき点もあります。

まとめ

実務経験がないからといって、ブランディングのパラレルワークを諦める必要はありません。特に営業職として培ってきたあなたのスキルは、ブランディングというビジネス寄りのクリエイティブワークにおいて、他の未経験者にはない大きな強みとなります。

コミュニケーション能力、ヒアリング力、課題発見力、提案力といったスキルは、ブランディングの企画、クライアントとの折衝、プロジェクト推進において非常に価値があります。これらのスキルを自信に変え、「実務経験がない」という点を「ビジネス視点を持ったブランディングパートナー」という強みで補い、最初の1歩を踏み出しましょう。

まずは、ご自身のスキルを棚卸し、実績作りの機会を捉え、ポートフォリオや提案の場で積極的にあなたのユニークな強みをアピールしてみてください。あなたの営業経験は、ブランディングの新しい働き方を実現するための強力な推進力となるはずです。応援しています。