実務経験ゼロから始めるブランディングパラレルワーク あなたのブランディングスキルに「値付け」する方法
未経験からブランディングスキルを活かしたパラレルワークを始めたいと考えている方の多くが、「自分のスキルにどう値段をつければ良いのだろうか」という疑問や不安を抱えることでしょう。特に実務経験がない場合、自身の提供できる価値がどれくらいなのか、市場感も掴みにくいため、値付けは大きな壁となります。
この記事では、ブランディングパラレルワーカーとして活動を始めるにあたり、実務経験ゼロの状態からどのようにご自身のブランディングスキルに「値付け」をするか、その考え方と具体的なアプローチについて解説します。
なぜ「値付け」が重要なのか
まず、なぜ値付けがそれほど重要なのでしょうか。単に金額を決めるだけでなく、適正な値付けは、ご自身のモチベーション維持や、クライアントからの信頼獲得に直結するからです。
- 低すぎる価格設定のリスク: 過度に低い価格を設定すると、クライアントからスキルのレベルが低いと見なされたり、ご自身のモチベーションが維持できなかったりする可能性があります。また、本来かけるべき時間や労力を十分にかけられず、提供するサービスの質が低下する恐れもあります。
- 高すぎる価格設定のリスク: 実力に見合わない高すぎる価格は、クライアントに選ばれないばかりか、もし受注できたとしても期待に応えられず、信頼を失うことになりかねません。
適正な価格は、ご自身のスキルや提供できる価値、クライアントの期待値、そして市場感を総合的に考慮して見つける必要があります。特に未経験からのスタートでは、この「適正」を見極めることが、その後の活動を継続する上で非常に大切になります。
実務経験ゼロからの「値付け」の基本的な考え方
実務経験がない状態から値付けを行う場合、いくつかの視点を持つことが役立ちます。
1. 提供できるサービス内容の明確化
まず、ご自身が独学で学んだブランディング知識を活かして、具体的にどのようなサービスを提供できるかを明確にしましょう。例えば、以下のようなものが考えられます。
- 簡易的なブランド診断・課題ヒアリング
- ブランドコンセプトの言語化サポート
- ターゲットペルソナの設定サポート
- 競合の簡易リサーチ
- 学んだフレームワーク(例: 3C分析、SWOT分析など)を使った情報整理サポート
最初から包括的な大規模ブランディングプロジェクト全体を請け負うのは難しいかもしれません。まずは、ご自身のスキルレベルで実行可能で、クライアントが「これなら助かる」と感じるピンポイントなサービスに絞ることから始めましょう。
2. 想定作業時間と難易度からのアプローチ
提供するサービスごとに、ご自身がそのタスクを完了するためにどれくらいの時間がかかるかを概算してみましょう。次に、そのタスクの難易度や、ご自身のスキル習得にかかった時間、本業で培ったビジネススキル(ヒアリング力、整理力など)がどのように活かせるかを考慮します。
ただし、未経験のうちは想定以上に時間がかかることがほとんどです。最初のうちは、利益を出すことよりも「経験を積むこと」に重点を置き、時間単価を低めに設定したり、定額での「お試し価格」を設定したりすることも有効な戦略です。
3. クライアントが得られる「価値」からのアプローチ
価格は、ご自身が投じる時間や労力だけでなく、クライアントがそのサービスから得られるであろう「価値」も考慮に入れるべきです。例えば、ブランドコンセプトが明確になることで、クライアントは今後のマーケティング活動がスムーズに進められる、従業員の意識統一が図れる、といったメリットが考えられます。
未経験の場合、この「価値」を金額換算することは難しいかもしれませんが、「このサービスによってクライアントの〇〇という課題が解決される」「〇〇という状態になれる」といった、具体的な変化をイメージすることが、価格設定のヒントになります。
4. 目標収入からの逆算(長期的な視点)
パラレルワークで長期的にどれくらいの収入を得たいか、という目標から逆算して時間単価や案件単価を考える方法もあります。ただし、これはある程度経験を積んでからの現実的な目標設定に使う方が良いかもしれません。未経験の段階では、まず「実績を積み、次の案件に繋げる」ことを最優先に考え、価格は柔軟に調整することを推奨します。
あなたの「スキル」や「提供価値」をどう見極めるか
実務経験ゼロであっても、これまで独学でブランディングを学んできた時間、そして本業のIT企業の営業職として培ってきた経験は、必ずあなたの提供価値の一部となります。
- 独学で培った知識: ブランディングの理論やフレームワーク、市場調査の方法論など、インプットしてきた知識そのものが価値です。これをクライアントの課題にどう応用できるかを考えましょう。
- 営業職としての経験: クライアントの課題を引き出すヒアリング力、提案力、コミュニケーション能力、ビジネス理解力などは、ブランディングの戦略策定やクライアントとの信頼関係構築において非常に重要なスキルです。これらのスキルが、単なるデザインスキルの有無以上に、クライアントに価値を提供できる根拠となります。
- ポートフォリオ(学習過程や模擬プロジェクト): 実務実績がない場合でも、学習過程で作成した課題、自分でテーマを決めて行った模擬プロジェクトの成果物、友人や知人の小規模なブランディングを手伝った経験などは、あなたのスキルや考え方を示す強力な材料になります。これらを「実務経験ではないが、このようなアウトプットが可能です」と示すことで、クライアントはあなたが提供できる価値を具体的にイメージできます。
クライアントに「価格」と「価値」を自信を持って伝える方法
価格を決めることも難しいですが、それをクライアントに自信を持って伝えることはさらに難しいと感じるかもしれません。
重要なのは、価格だけを提示するのではなく、その価格に含まれる「価値」を明確に伝えることです。
- 提案書での説明: 提案書には、サービス内容、価格、そして最も重要な「期待される成果」を記載しましょう。なぜその価格なのか、ご自身が提供できるスキルや経験(独学の知識、営業経験など)がどのようにクライアントの課題解決に役立つのかを丁寧に説明します。
- 価値に焦点を当てる: 価格について話す際も、「この価格で、クライアントは〇〇という課題を解決し、△△という状態になれる」といった、提供する価値や将来的なメリットに焦点を当てるように心がけましょう。
- 未経験であることの伝え方: もしクライアントから実務経験について質問があった場合は、正直に未経験であることを伝えつつも、独学で得た知識や本業で培ったスキル、そして今回のプロジェクトを通じてクライアントの課題解決に真摯に取り組む姿勢を強調しましょう。「経験はないが、その分、貴社の課題解決のために最新の知識を学び、粘り強く取り組みます」といった誠実な姿勢は、クライアントに安心感を与える場合があります。
経験を積んだ後の「単価アップ」の考え方
最初のうちは経験を積むために価格を抑えることも戦略ですが、経験を積むにつれて、提供できる価値は向上します。それに伴い、単価も上げていくことを検討しましょう。
単価アップは、実績の積み重ね、提供できるスキルの幅や深さ、特定の分野での専門性の確立、そしてクライアントからの信頼度によって正当化されます。過去の成功事例を具体的な成果とともに提示したり、より複雑な課題に対応できるようになったりすることで、より高い価格設定が可能になります。
まとめ
実務経験ゼロからブランディングパラレルワークを始める際、価格設定は避けて通れない課題です。しかし、過度に恐れる必要はありません。
まずはご自身が提供できる具体的なサービス内容を明確にし、それに伴う時間や労力、そして最も重要な「クライアントが得られる価値」を考慮して、最初の価格を設定してみてください。最初のうちは「経験を積む」ことを目的とした価格設定でも構いません。
そして、自信を持ってご自身のスキルと提供価値をクライアントに伝えましょう。あなたの独学で培ったブランディング知識と、営業職として磨いたビジネススキルは、必ずクライアントの役に立つはずです。
一歩踏み出し、経験を積み重ねることで、ご自身の適正価格が見えてくるはずです。この価格設定のプロセスを通じて、ご自身のスキルと提供価値への理解も深まっていくことでしょう。応援しています。